Forgotten Kernel: Artificial Fairies

Forgotten Kernel: Artificial Fairies


物語を表現したアルバムです。全18曲です。
FC音源を使用しています。FamiTrackerで作成しました。
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ストーリー

エリンドという国には、羊人族が暮らしている。羊人の少女エルバは、エリンド首都近郊にある小学校に通っていた。
トレソルニオ暦2310年の冬、彼女は、妖精と呼ばれる人工生命体に襲われる。
これは、魔法の存在が広く知られるようになる前の物語である。


曲目


01 Elva's Nightmare

エルバは一週間にわたって悪夢を見た。夢は同じ内容をひたすら繰り返している。
そこには必ず正体不明の生命体が登場する。生き物であるのは確かだが、体が金属のようなものでできていた。


02 Three Eccentrics

エルバは、三変人と呼ばれる者たちを訪ねる。彼らは町の地下に集まっては、ひたすら雑談をしている。
元々この街の住人ではなく、どこの生まれかすら分かっていない。
町の人は彼らを不気味に思って近寄らないが、エルバは時々彼らの棲み処に出入りしていた。彼らの話には不思議なものが多く、エルバにとって興味深かった。
三変人によると、それは、最近町に出没するようになった謎の生命体の仕業かもしれないという。彼らはその生命体を妖精と呼んでいる。


03 Fancied Weapon

エルバは、悪夢の原因とおぼしき妖精を撃退すべく、作戦を練る。
彼女は、現実世界では非力だが、夢の中ならもっと力が出せるだろうと考えた。そこで、思い描いた武器を夢に持ち込むことにした。


04 Hellish Loop, 1st Fairy


エルバはその夜、再び悪夢を見る。夢に巨大なクロスボウを持ち込んでいた。
しばらくすると、60センチメートルほどの物体が目の前に現れる。妖精である。
妖精は体に輪をまとい、少しばかり地面から浮いている。エルバは「誰?」と問う。妖精はヘリッシュ・ループと名乗ると、エルバに体当たりをしかける。
エルバは吹き飛ばされるが、何とか立ち上がる。ヘリッシュが再び向かってくると、エルバはクロスボウを構える。向かってくるヘリッシュに見事に矢を命中させた。
ヘリッシュは倒れ、エルバは夢から覚める。窓の外を見ると、ヘリッシュが倒れていた。エルバが駆け寄り、語りかけると、ヘリッシュは負けを認め、「何でも命令して」と言う。
ヘリッシュはエルバの部屋に招き入れられると、自分の主について話し始めた。主は自らを魔女と称していた。魔女は6体の妖精を作り出し、エルバを捕らえるように命じた。
エルバは残り5体の妖精と戦わなければならない。エルバはヘリッシュに、共に戦うように命じる。
しかし、ヘリッシュは夢に入り込む能力しかなく、戦いは苦手だった。当分荷物持ちをさせることにした。
家に着くと、ヘリッシュは一旦外で待機し、エルバが先に家に入る。エルバは二階にある自室の窓を開け、ロープを垂らす。
ヘリッシュがロープを掴むと、エルバが引き上げて、部屋の中に入れる。エルバの両親に気付かれないようにするためである。


05 Hot Air

翌日、授業が終わるとエルバは校舎裏に向かう。そこにはヘリッシュが待機しており、エルバの荷物を受け取ると、人目につかぬように歩いていく。
すると、急に熱風が吹いてきた。


06 Heat Collector, 2nd Fairy


2体目は、発熱の妖精、ヒート・コレクター。ヒートは手元の枯れ草に点火し、エルバめがけて投げる。エルバは何とか避け、校舎に逃げ込む。
しかし、このまま校舎内で戦えば学校が火事になってしまう。彼女はとっさに対抗策を思いつく。
エルバは教室に駆け込み、不要な紙を集める。そしてストーブの蓋を開け、紙に灯油を染み込ませる。エルバは窓から外へ飛び出る。
そこにヒートが現れ、再び熱を集める。エルバはヒートに灯油の染みた紙くずを投げつける。紙くずは燃え上がり、そのままヒートの腕に張り付く。
慌てて紙くずを払おうとしたヒートに、エルバは紙くずを次々と浴びせる。ヒートは炎に包まれ、グラウンドの上でじたばたしている。 エルバはバケツに水を汲んできて、消火する。エルバはヒートの肩を掴み、助けてあげたお礼に仲間になりなさい、と命じる。
エルバはヒートを連れて帰ると、たわしで焦げた体を擦った。ヒートは時折痛がる。エルバは「そんな体でも痛いのかぁ」とつぶやく。


07 Barricade

翌日の放課後、エルバは学校の離れの小屋にいた。気が付くと、入り口が布でふさがれていた。
その布は触ると硬い。彼女は何とか布を押しのけ外に出る。


08 Hardener Bell, 3rd Fairy


3体目は、硬化の妖精、ハーデナー・ベル。右手に持つベルで叩くと、布でも紙でもカチカチに硬くなる。
エルバはすかさず石を投げつける。ハーデナーは一瞬怯むが、すぐに体勢を立て直す。
二枚のぼろきれを取り出し硬化させ、片方は槍に、片方は鎧にした。そして、エルバに襲いかかる。エルバはひたすら逃げ回る。
ハーデナーはしびれを切らし、エルバの足に泥を投げる。その泥を硬化させる。エルバは「ヒート!」と叫ぶ。
ハーデナーは次々と泥を投げ、エルバを転倒させ、地面に縛り付けた。
エルバの意思が通じたのか、ヒートが駆け付ける。エルバは、「そいつに火をつけて」と命じる。
ヒートは、ハーデナーが纏った布に熱を集める。たちまち炎が上がる。ハーデナーは突然のことに慌てふためいている。
その瞬間、ハーデナーの硬化の術は解け、エルバは動けるようになった。エルバは大きめの石を拾い、ハーデナーの頭に勢いよく当てた。
ハーデナーは地面を叩いて悔しがるが、諦めてエルバに従うことにした。


09 Proof Of School

翌日から、妖精たちは常にエルバの近くで待機することにした。学校では、用具入れやゴミ捨て場に隠れる。
放課後、エルバは誰もいなくなった教室に残る。ヘリッシュは荷物を持って先に帰り、ヒートとハーデナーを呼ぶ。
襲われる前に態勢を整えておく。ハーデナーたちから、飛行が得意な妖精について情報を得る。
空中から襲われたらこちらは手も足も出ない。エルバは、学校の屋根に上がって作戦を練ることにする。
こっそりはしごを持ち出し、屋根上に上がると、冷たい風が吹き付ける。そして、カタカタという物音が聞こえてくる。 ヒートは叫ぶ。「エルバ、後ろ!」


10 Fiber Bird, 4th Fairy


4体目は繊維の妖精、ファイバー・バード。鳥のような姿をしている。エルバが振り向くと、ファイバーは右手から繊維の束を放出する。
エルバは横に転がって避ける。屋根から落ちそうになるエルバを、ハーデナーが止める。エルバは何かを思いつき、ハーデナーに耳打ちする。
エルバは立ち上がってファイバーを挑発する。ファイバーはエルバの首めがけて繊維を飛ばす。
するとハーデナーが飛び出し、繊維をベルで叩く。ファイバーの手には繊維がくっついたまま硬化した。
エルバたちは繊維をつかみ、思い切り引き、ファイバーを校庭に向かって放り投げた。ファイバーは強く地面に叩きつけられ、しばらく動けなくなった。
その後、ファイバーはエルバに協力することとなった。
ファイバーはつぶやく。「魔女様に忠誠を誓ったはずなのに、今ではエルバ様についていきたくてしょうがない。なぜ……」
その日の夜、エルバたちは部屋でひそひそ話をして盛り上がる。しかし、ヘリッシュは落ち込んでいた。自分の能力が戦いの役に立っていないのだという。
エルバはヘリッシュの肩に手を置いて言う。「ヘリッシュはわたしの夢に出てきて。久しぶりに楽しい夢が見たい」


11 Invisible Fences

翌朝、エルバは登校中、突然何かにぶつかり、転ぶ。しかし、目の前には何もない。
エルバが手を突き出すと、見えない壁のようなものがある。妖精の仕業に違いない、とエルバは身構える。


12 View Eraser, 5th Fairy


5体目は、隠蔽の妖精、ビュー・イレイサー。あるはずの物体を見えなくする能力を持つ。
エルバがビューの方を振り返ると、左足に何かが挟まった。何らかの罠が設置されていたようだ。
エルバは見えない罠を蹴り飛ばす。このまま下手に動くと相手の思うつぼだと、エルバは立ち止まり、「ファイバー、繊維をまき散らして!」。
ファイバーは数メートル飛び上がり、エルバの周りに繊維を大量に飛ばす。繊維が降りかかったことにより、設置された罠が全て丸見えになった。
ビューは驚きのあまり腰を抜かし、「一晩かけて準備したのに……」とつぶやく。エルバは「これで終わりなの?」と拍子抜けする。
ビューは投げやりな声で言う。「これ以上どうしようっていうの。痛いのは嫌だもん」
エルバは、痛い目に遭いたくなければ、仲間になるように、と軽く脅すと、ビューはぶつぶつ言いながらも従う。
「みんな寝返っちゃったんなら、そっち行こっかな……」
その夜、最後の妖精との戦いに備え、作戦会議を開く。今まではその場の思い付きで対応していたが、それでは不安だ、とエルバは今さら気づく。


13 Air Raid

ビューが加わったことで、妖精たちは姿を消して行動できるようになった。
これにより、町を堂々と移動することができるようになった。
翌朝、エルバが外に出ると、空から石が降ってきた。見上げると、小さな影がどんどん大きくなってくる。


14 Blast Jumper, 6th Fairy


6体目は、俊敏の妖精、ブラスト・ジャンパー。動きも思考も非常に速く、5メートル以上ジャンプすることができる。
エルバは落下してきたブラストを避ける。ブラストは落下の衝撃から立ち上がるのに時間がかかる。
その隙にエルバは自宅近くの空き地に逃げ込む。ようやく立ち上がったブラストは、エルバに体当たりを仕掛けようと加速する。
エルバは仁王立ちし、その後ろではビューとファイバーが待機している。ブラストが眼前に迫った瞬間、エルバは左に跳んで避ける。
ブラストはすぐには止まれず、1メートルほど進むと、何かに引っかかった。
ファイバーが作り出した繊維を、ビューが見えなくし、二人で張っていた。引っかかったブラストは反動で吹き飛ばされる。
反対側ではヒートが塀の前でお湯を沸かしている。水を汲んだのはヘリッシュである。ブラストは塀に激突し、そのまま熱湯に落ちた。
ブラストは慌てて飛び出し、転げ回る。
「ごめんね、元々仲間だったブラストにこんなことしちゃって」と、エルバは妖精たちに詫びる。
ヒートは「そりゃそうだけど、ほっといたらエルバが危ないでしょ」と苦笑して言う。
ハーデナーは、「生きて捕えろと命令されてたはずのに、ブラストは本気出し過ぎじゃない?」と言う。エルバは「あんたもやる気まんまんだったでしょ」と呆れる。
しばらくして、ブラストがぼそっと「あの、わたしのこと忘れてません?」とつぶやく。


15 Dark Woods

その夜、7人は最後の作戦会議を開く。刺客はこれで終わりだが、放っておけば新たな妖精が作られるか、主が直接襲ってくるかするだろう。
主は魔女と名乗り、森の奥に住んでいるという。強力な魔法を操るため、太刀打ちできないだろうという。エルバはヘリッシュの能力について詳しく教えてほしいと言う。
ヘリッシュの能力は、姿を直接見たことのある人なら適用可能である。眠っているものに強制的に夢を見させ、出入りすることができる。
同じ時間に眠っている人なら、別の人の夢の中に連れていくこともできるという。妖精たちも人と同じように眠る。
エルバは、7人で魔女の夢に乗り込もうと考えた。
7人はすぐに計画を実行に移す。ヘリッシュを除き、妖精たちはエルバとともにベッドに入る。
窮屈ではあるが、何とか布団の中に収まった。しかし、戦いへの不安のせいか、なかなか寝つけなかった。結局、全員が眠るまでに一時間ほどかかった。
7人は魔女の夢に入り込む。森の中に、丸太小屋がある。エルバは巨大なクロスボウを担ぐ。


16 Horn Witch, Master Of Fairies


「夢なら勝てると思ったか?」と、魔女は捻じれたような笑みを浮かべて現れた。
魔女は巨大な杖を持ち、頭には大きな角を生やしている。禍々しさに溢れた姿だが、羊人族なのだろうか。
「夢の力で強くなっているのはこっちも同じだ」と言うと、魔女は杖を振り上げる。
ビューはすかさず自分を含めた7人全員の姿を隠す。 「無駄だ。わたしの魔法には死角がない」そう言って、魔女は巨大な竜巻を二つ発生させる。竜巻は、魔女の周りを回転し始める。
ヒートは次々と枯草に火をつけ、竜巻の中に投げ入れる。魔女は熱さに一瞬声を上げるが、すぐに杖の先から水を出し、消火する。
魔女は辺りに雨を降らせる。雨粒により、エルバたちの影が丸見えになった。
エルバはクロスボウを構える。すると魔女は砂嵐を発生させ、姿を隠した。「これでも当てられるかな?」と、魔女は高笑いする。
エルバは一旦構えを解き、クロスボウをこん棒のように握りしめる。そして、「ブラスト、わたしを運んで」と指示する。
ブラストはエルバを抱え、砂嵐に突っ込んでいく。
エルバがクロスボウをがむしゃらに振り回すと、大きな手ごたえがあった。同時に呻き声が響き、砂嵐が止んだ。


17 Witch's Last Dream

魔女を倒し、7人はエルバの部屋に戻ってきた。ちょうど夜が明ける頃だった。
エルバたちは、魔女の様子を見に行くことにした。 夢の中の魔女を倒したことで、本体の精神はボロボロになっていると予想されるが、まだ力が残っているかもしれない。
自宅の一階に降りると、両親はまだ眠っていた。エルバは、「ちょっと散歩してくるね」と書き置きして出た。
エルバたちは、町の外れの森にやってきた。妖精たちが魔女の居場所を案内する。
昨夜の夢と同じ場所に来た。エルバは恐るおそる小屋のドアを開ける。魔女はベッドの上で呻いていて、とても動けそうにない。 「もう、降参……だよね」とエルバは問う。「ああ」と魔女は頷くと、体に巻かれた布をびりびりと破く。
布の下から、煤けた金属の塊が姿を現す。魔女自身も妖精と同じ体だった。
ヘリッシュたちは、かつての主の正体に驚く。魔女は、苦しそうに語り始めた。

魔女もかつて羊人だった。幼少の頃、森の中で不思議な力に目覚めた。魔女はそれを魔法と呼ぶことにした。
魔法は、なぜか森の中でしか使えなかった。魔女は、森の中に咲く、特定の植物が魔法の源になっていることに気付く。
それから、彼女はひたすら森の中で修行した。魔女はやがて風や火を自在に操れるようになった。
そして、とうとう頭脳を持つ人形を作り上げ、自身の記憶を複製することに成功した。
そして魔女の死後、その人形が魔女として生きることになった。魔女はその後も森の中で研究を続け、自分とは異なる人格の人形を作る。
それが6体の妖精だった。寂しさを紛らわすためのものだった。
魔女はやがて、金属の体ではなく、本物の肉体に記憶を移そうと考え始める。
魔女は、エルバを一目見て気に入り、捕まえることにした。こうして現在に至る。
妖精たちの体内には、魔法の源を生成する機構が入っている。エルバが無意識のうちに魔法を発動させ、妖精たちの感情に変化を起こしたのではないか、と魔女は言う。
魔女に寿命が近づいていた。先ほどの戦いでさらに体力を消耗し、次の体も用意できない。
魔女はこのままここで眠ることにする、と告げ、目を閉じる。


18 Living With Fairies

エルバは6体の妖精を連れて帰る。かつて危害を加えてきた妖精たちであったが、エルバとすっかり打ち解けていた。
彼女にとって魔女は許し難い存在だったが、妖精のことは憎めなかった。
エルバは妖精たちに「わたしを危ない目に合わせた罰として、一緒に住んでもらうよ」と笑って言う。

ヘリッシュはエルバに楽しい夢を見せてくれる。
ヒートは熱を集めるという能力を、冷暖房として利用する。
ハーデナーは一時的にエルバの寝ぐせを固定し、髪が乱れていると外出を許さない母親を欺く。
ファイバーは繊維を使って小物を作る。ビューは、エルバが両親に叱られた時に隠れるのを助ける。
ブラストは高い情報処理能力を活かし、計算問題の検算などを行う。
エルバはまだ、夢でも見ているような気分である。
魔法の存在は、三変人から断片的に聞いたことがあったが、町の人は誰も話題にしていなかった。
エルバも魔法を使うことができることが判明したが、詳しいことは何も知らない。
魔法を使う時のエネルギー源が、森のとある植物ということだけだ。
エルバはこれからどうするか、ゆっくり考えることにした。



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