Dokudami Princess 3: Ruler Of The Sun
Dokudami Princess 3: Ruler Of The Sun
物語を表現したアルバムです。全17曲です。
FC音源を使用しています。0CC-FamiTrackerで作成しました。
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登場人物 その1
・シブキ(ドクダミ族)
ドクダミ王国国王の娘。最近ウィーズランドに引っ越し、学園に編入学することになった。
回復魔術が得意。
・ラミー(ヒメオドリコソウ族)
ウィーズランド学園の生徒。少々臆病だが、球技が得意で身軽。
自分の体に魔術をかけることで、さらに素早く動くことができる。
・クレア(ヒメジョオン族)
ウィーズランド学園の生徒。ちょっと強気。
防御壁を発生させる魔術が得意。
・リコル(ハルジオン族)
ウィーズランド学園の生徒。少し引っ込み思案。なぜかクレアの傍にいることが多い。
魔力の盾を発生させることができる。クレアと協力することで、より強力なシールドを張ることができる。
・ソア(ノビル族)
ウィーズランド学園の生徒。若干辛口。
電撃を発生させる魔術が得意。
・プリッチ(ノアザミ族)
ウィーズランド学園の生徒。多少楽観的。
とげを飛ばす魔術が得意。
前作のあらすじ
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ここは、葉人(はびと)という生物が暮らす世界である。葉人には様々な種族がいる。
シブキ、ラミー、クレア、リコル、ソア、プリッチの6人は、ドクダミ王国の近くの扉から、世界の外側に出る。
そこは宇宙だったが、なぜか呼吸ができ、自由に泳ぐこともできた。
そこにユリ族のラプティスが、ファームファミリアという機械兵を率いて襲いかかる。
6人は月に逃げ込み、魔術の力で何とか追い払うことに成功した。
曲目
01 Absentmindedness
月面には日光が降り注いでいる。
「生身では来られないはずの場所なんだけどねえ……」と、ラミーはひどく混乱している。
自分たちが宇宙に出てしまったことが到底信じられなかった。呼吸ができ、気温も快適である。
「授業で習ったことも、今ではもう古いのかもしれない」とプリッチは無理に納得しようとしている。
シブキたち6人はラプティスを追い返した後、月面で途方に暮れていた。
宇宙は広大で、敵対する園芸植物たちがどこにいるのかも分からない。
日照量の減少も、どうすれば食い止められるのか。無計画なまま外の世界に出てきてしまった。
そこに、見たことのない生物が姿を現す。体は小さく、子供のように見える。彼は、「こっちおいで」と笑いながら走っていく。
02 Surface Of The Moon
シブキたちは子供を追うが、途中で見失ってしまう。何もない土地をひたすらまっすぐ進んでいく。
03 Underground Cavity
何とか子供に追いつく。子供は地面に手をかざすと、砂の中から蓋のようなものが現れる。子供は蓋を外すと、地下に降りていく。
地下は真っ暗で何も見えない。子供は手のひらを発光させ、それを照明代わりにして進む。
04 Energy Spilits
空洞の奥に、集落があった。砂を固めて作ったと思しき住居が建ち並ぶ。
6人を導いた子供は、両親と思しき二人に叱られていた。本当は大人が数人で迎えに行くはずだったが、子供がこっそり飛び出して行ってしまったらしい。
彼らは、シブキたちが月面で戦っていることを察知していた。彼らは、エネルギー精霊という種族らしい。
奥から一族の長らしき人物が姿を見せる。
長老は「伝えたいことはたくさんあるが、詳しいことは後でメモにして渡そう。出会ったばかりなのに申し訳ないが、とりあえず今の状況を簡単に」
と言って、説明を始める。
ここに住んでいるエネルギー精霊は魔のエネルギー、いわゆる魔力の流れを自在に操ることができた。
精霊はかつて地球に住んでいたが、色々あって太陽に移住した。太陽では、各地域に送り込むエネルギー量を、個別に設定することができた。
約一か月前、太陽は襲撃を受け、精霊たちは追い出されてしまった。扉は厳重にロックされていたが、破壊された。
侵入者はヒマワリ族のサータと名乗り、杖から強力なビームを放ったという。
長老は、「で、これは言いにくいのだが……」と言い終わらないうちに、シブキは反射的に「もちろん行きますよ。太陽を取り返しましょう」と力を込めて言う。
ラミーは「ちゃんと聞いてから返事しようよ」と少し呆れて言う。
その後、長老とシブキたちは作戦について話し合う。まず、乗っ取りから一か月では、太陽内部の構造を大きく変えることはできないだろうと考える。
シブキたちは、サータが取り得る戦法を推測する。ファームファミリアは精霊たちにとって脅威だったが、シブキたちの手にかかれば簡単に倒せるだろう。
脅威になり得るとすれば、サータ自身であろう。
6人がかりなら簡単に抑え込めそうだが、何か対策を講じている可能性もある。一人で多数の葉人を倒してしまうような方法があるとすれば、それは何か。
シブキたちは、敵の視点に立って考える。
精霊の証言によると、サータはビームを発射する杖を持っていた。杖そのものにエネルギーを発生する機構が付いているとは考えにくい。
サータの魔力をビームに変換していると考えられる。葉人は、土を介して魔力を吸収することもできる。
しかし、時間当たりの吸収量には限界があり、あまり効率が良くない。基本的には光合成によって魔力を生成して溜めこむ。
よって、自分だけが光合成をすれば、有利になる。これらの材料から、シブキたちは敵の戦略を予想する。
もちろん、予想が当たるとは限らないが、いちかばちか賭けてみることにした。
05 Cheering
精霊たちは6人を鼓舞するため、手拍子をしながら踊る。シブキは、自分の体に力がみなぎってくるように感じた。
クレアは、「そうか、あの手拍子でエネルギーを送り込んでいるんだ」とぶつぶつ言っている。
ラミーとプリッチは、いつの間にか踊りに加わっていた。ソアは、「あらら……」と言って呆れている。
シブキたちは戦いを終えたばかりで疲れていたが、元気を取り戻した。
長老はその間、筆を執っていた。
06 Departure
精霊の青年が一人、シブキたちに同行することになった。彼はイダと名乗る。
長老は巨大な宝石を袋に入れ、イダに手渡す。先祖代々伝わる、大切なものらしい。
シブキたちは、雑草世界の扉に向かう。扉の下に、エネルギー転送装置がある。それを使って太陽に乗り込む作戦である。
装置を使うには精霊の力が必要だ。
転送装置は、常にエネルギーを送り込んでいる状態だと割り込みにくいが、現在はエネルギーの送信量が減っているはずなので、余裕があるだろうという。
7人は、地下空洞から月面に出て、扉に向かう。シブキは、先ほど長老から受け取ったメモを読む。
大昔から、地球には魔のエネルギーを自在に操ることができる精霊がいた。それが我々の先祖である。
人類が文明を築き始めた頃、先祖は地下に移り住むことにした。
自分たちの存在が、争いの火種になったり、能力が悪用されたりする恐れがあったためだ。
地下にいる間も、精霊たちは地球における魔力の増減を感知することができた。
地上ではある時期から魔力が消費されるようになっていたが、いつの日からか途絶え、溜まっていく一方となった。
ある日、地球に蓄積した魔力が噴出した。地下にいた精霊たちは地上に出た。
地球は分裂し、放出された魔力によって各地域と宇宙は圧縮されていた。
各地域はバラバラになり、それぞれの入り口には蓋のようなものができ、太陽光が届かなくなっていた。
地上では多くの建造物が倒壊し、多数の死者が出ていた。
精霊たちは直ちに太陽に向かった。太陽も魔力の作用で大きく変質していた。
温度は高くなく、内部に出入りできた。太陽は中枢部、空洞部、エネルギー貯蔵部に分かれていた。
太陽のエネルギーを魔力に変換し、それぞれの地域に転送する装置を作った。
各地域には太陽光が魔力に変換された状態で送られ、そのエネルギーによって空中に太陽を浮かび上がらせた。
各地域に出入りしやすいように、蓋のような物体を扉に作り替えた。
また、魔術が扱える者のみ扉を開けられるように仕掛けを施した。当時は精霊以外には魔術が使えなかったため、扉を出入りできる者はいなかった。
地球分裂後しばらくして、頭部に葉や花の付いた、人型の生物が現れた。季節に関係なく、一年中花を咲かせている。
彼らは後に葉人と呼ばれるようになる。葉人の出現とともに、植物が減っていった。枯れたわけではなく、姿を消していった。
因果関係は分かっていないが、植物が葉人に進化した可能性がある。一方、体の大きい樹木はそのまま枯れていった。
07 Transporter
元の世界に戻ると、完全に太陽が見えなくなり、真っ暗である。
イダは扉の前の地面に手をかざす。砂の中から蓋が顔を出す。
蓋を開けると、イダは「この下に転送装置があります」と言って穴に入っていく。
転送装置は、さらに地下深くにあるエネルギー貯蔵部につながっている。
太陽から送られたエネルギーは一旦転送装置が受け、さらに貯蔵部に送り出す仕組みになっている。
移動先を正しく決めれば、転送先でエネルギーの海に飲まれることはない。時空を歪めて移動させる形式である。
シブキたちは恐るおそる転送装置に入る。
08 Obstacles
転送が済むと、早速ファームファミリアが襲ってきた。ここを見張っていたらしい。
ウィーズランドを襲撃したものと同型のため、シブキたちにとって敵ではない。
09 Ghost Town
居住区に出たが、人気はなく、しいんとしている。住民である精霊たちが追い出されたため、当然ではある。
シブキは一瞬寒気がして身震いする。
10 Green Maze
太陽中枢に続く道は、びっしりと葉に覆われている。イダによると、以前はなかったという。そして、壁も増えているという。
サータが魔術によって生み出したものだろうか。7人は、迷路のように入り組んだ道を進んでいく。
11 Farm Familiar Defender
太陽中枢部の手前まで来た。そこには、巨大な門番が立っていた。顔の類似点から、門番の派生型とみられる。
しかし、通常の型とは異なり、ちょっとやそっとの攻撃ではびくともしない。
おまけに力も強く、不用意に近づいたシブキは投げられてしまう。
しかし、相手は巨体のせいか、動きが遅い。6人は距離をとって魔力弾を何度も浴びせると、少しずつ体がへこんでいくのが見える。
すると突然、門番は右腕を発射してきた。シブキたちは急な攻撃に驚くが、とっさに避ける。落下した右腕は遠隔操作で引き寄せられ、元の位置に収まる。
リコルは、何か思いついて、クレアに耳打ちする。門番は、再び右腕を発射する。その瞬間、リコルとクレアは門番に飛びつく。
クレアは、「その腕投げといて」と叫ぶ。リコルたちは、ファームファミリアの腕の付け根を押さえ、シールド魔術を発動させる。
門番の内部でシールドが広がっていく。しばらくすると二人は相手から離れる。膨張に耐え切れなくなった門番は破裂してバラバラになった。
12 Center Of The Sun
太陽の中枢部まで来た。敵の気配はもうない。中央の通路はエネルギー管理室に通じている。
イダは6人と別れ、右側の道を進む。先ほど話し合った作戦を実行するためである。6人は、中央の通路を進む。
13 Theme Of Serta, Sun Flower
中枢部の奥、太陽光を制御する管理室に着いた。中央には椅子に腰かける人物がいる。ヒマワリ族のサータである。
「なぜこんなことをしたんですか」とシブキが問う。サータは、「お前たち雑草を絶滅させるために決まってるだろう」と落ち着き払って言う。
「なぜわたしたちを?」とラミーは少し震えながら言う。
サータは返事をせず、座ったまま杖をこちらに向け、ビームを放つ。
結局戦いは避けられなかった。シブキたちはビームを避けつつ、魔力弾で反撃する。
14 Solar Power
サータが手元のレバーを引くと、真上から強力な光が照射される。光は彼女だけに当たっている。
サータは杖を掲げると、姿が大きく変貌する。頭部の花は逆立ち、体が2倍ほどの大きさに膨らむ。
サータはその場から離れずに攻撃を仕掛ける。両手から次々と魔力のビームを放つ。
クレアとリコルは慌ててシールドを張るが、すぐに破られてしまった。
ソアは電撃を、プリッチはとげを放つが、歯が立たない。ラミーは避けるので精一杯である。シブキは、逃げ回りながら傷ついた仲間を回復する。
15 Taking Back The Sun
その時、管理室のダクトが開いた。イダが音も立てずに現れる。シブキたちは、敵に気付かれないよう、なるべくイダを見ないようにする。
イダは、壁をよじ登り、魔力の鎖を天井にかけて進む。天井の中央にある光照射機のガラスの蓋を開け、そこに宝石を入れる。
それまでサータにだけ注いでいた光が宝石に当たって分散し、部屋中がぱっと明るくなった。
シブキたちに再び魔力が沸き上がってきた。一方、サータにあたる光の量は減ったため、先ほどより弱体化することとなった。
サータは夢中になっているのか、変身の影響で機能が鈍っているのか、光の変化に気付かない。なおもシブキたちに向けてビームを撃ち続ける。
クレアとリコルは、やっとビームを防げるだけのシールドを張ることに成功する。
そして、6人は魔力を一か所に集め、太いビームを放つ。サータもすかさず反撃するが、6人の魔力には及ばず、あっという間に吹き飛ぶ。
サータは元の姿に戻った。彼女は全身傷だらけになっていた。
16 Sunshine Recovery
「ちっ、ここまでか」と、サータは座り込んだまま動こうとしない。
「なぜわたしたちの命を狙うんですか」とシブキは強い口調で言う。
「長々説明するような理由はない。ただ、雑草は我々にとって敵なだけだ」と言って、サータは壁の方を見る。
「同じ葉人なのに……」とプリッチは悲しそうな目をして言う。
リコルは、「特にわたしは同じキク科なのに……」とつぶやく。クレアは、余計なことを言うな、という目でリコルを見る。
サータは答えない。
その間、イダは雑草世界に対する日光の出力を元通りにしていた。
シブキたちは宇宙に出る。サータは「わたしを逃がしていいのか?またいつお前たちを襲うか分からんぞ」と言って去っていく。
その後、精霊たちは太陽に戻った。シブキたちも元の世界に帰る。
帰り道、シブキは長老のメモの続きを読む。
葉人が姿を現し始めた頃、雑草だけでなく、園芸植物もこの世界にいた。
精霊はその後も地上に滞在し、世界の様子を見守り続けた。ただし、人間や葉人に見つからないよう、姿を隠しながら。
ところがある日、人類が一斉に姿を消した。何の前兆もなく、骨すら残っていなかった。
人類だけではなく、園芸植物もいなくなっていた。地上には葉人の雑草が残り、新たな文明を築いていく。
その後、精霊は太陽に移り住む。空洞部分に居住区を作り、中枢部で常に太陽を管理することになった。
17 New Communication
6人は翌日、教師のミラに呼び出された。ミラはカタバミ族である。昨日は異常現象のため休校となっていたので、無断欠席にはならない。
しかし、ミラは連絡が取れなくなった理由を問う。
プリッチは、「く、暗かったのでずっと眠ってしまいました……」とおどおどしながら話す。
ミラは、「そういえば昨日、来客があってね、これを置いていかれたんだけど……」と言って机の上を指さす。
そこには、小型のモニターとスピーカーが一体になったものが置かれている。すると突然、モニターの電源が入る。
そこに映し出されていたのは、イダの姿だった。「皆さんこんにちは。これからはこの通信機で連絡しますね」というイダの声が聞こえてくる。
シブキたちは目を丸くしている。
ミラは、「授業の内容も古いままだとまずいから、補足として色々追加していこうかな」と言う。
どうやら、既にイダから諸々の経緯を聞いていたらしい。ミラは「でも、危険なことはもうやめてね」と語気を強める。
シブキたちはすっきりした表情をしていた。しかし、ラミーだけは「今回のことで成績が下がったらどうしよう」と言って頭を抱えている。
シブキは、「じゃあ、今度こういうことがあっても、ラミーは留守番でいいよ」と冗談めかして言う。
ラミーは「それも嫌だよ……」と言って壁に手をつく。
ウィーズランドに、しばらく平穏な日々が訪れた。
登場人物 その2
・イダ
エネルギー精霊の青年。シブキたちに同行する。
・ファームファミリア・ディフェンダー
ファームファミリアの派生型の一つ。その巨体は硬い装甲で覆われていて、力も強いが、動きが遅い。
腕を発射して攻撃することができる。
・サータ(ヒマワリ族)
太陽を乗っ取り、雑草世界の日照量を減らし、雑草を絶滅させようとした。
彼女が持つ杖は、魔力を増幅してビームを発射することができる。また、持ち主を変身させる機能もついていたとみられる。
・ミラ(カタバミ族)
ウィーズランド学園の教師。一人で複数の教科を担当している。